iDeCoに興味はあるけど、どういった制度なのかが良く分からない…
20代からiDeCoを始めるメリットはある?
つみたてNISAとiDeCoの違いは?
近年、20代をはじめとした若い方々の間でiDeCo(個人型確定拠出年金)に注目が集まっています。
2016年から2020年にかけて、20代のiDeCo加入者数は約12.6倍となっており、急増しているのです。
iDeCo加入者年代 | 2016年3月末 | 2020年3月末 | 2016年と2020年の比率 |
---|---|---|---|
20~29歳 | 7,062人 | 89,309人 | 約12.65倍 |
(2020年3月末)」
特に、最近は2020年3月のコロナショックからのV回復で、世界的に株価はコロナバブルとも言われる上昇トレンドに乗っていました。
このため、テレビやYouTube、SNS等で株を始めることを勧める人が増え、今まで株に興味を持っていなかった若い世代にも浸透してきているのでしょう。
その中で、特に老後資産形成という観点でも注目を集めているのがiDeCoです。

私も20代ですが、同世代の知り合いからよくiDeCoに関する質問を頂きます。
本記事では、iDeCoとはどういった制度なのか、また20代から始めることによるメリットについてご紹介いたします。
iDeCoとは


まずはiDeCoという制度の概要について見ていきましょう。
iDeCoについてざっくり説明すると、次のようになります。
- 自分で選んだ株式や保険などの金融商品を自分のお金で運用し、
- 60歳まで引き出せない代わりに運用に大きな節税効果のある、
- 自分で年金を作って自助努力してね、という他力本願な政府の考えた制度
iDeCoは確定拠出年金という年金制度の一種であり、自分で掛金を毎月積み立て(拠出)し、自分で年金資産の運用を行う必要があります。
「老後2000万円問題」に象徴されるように、日本では少子高齢化が止まる気配がなく、将来の年金がどうなるのかは不透明です。
そこで国民にどうすれば自助努力してもらえるかを、アメリカの個人年金制度を参考に編み出された制度がiDeCoです。



国民に自助努力してもらわないと政府も困るため、iDeCoは老後の資産形成手段として大きなメリットを持った制度に設計されています。
なお、確定拠出年金にはiDeCoの他に企業型DC(企業型確定拠出年金)という制度もありますが、
これらについては↓の別記事で詳しく解説しておりますので、興味のある方はぜひ参照ください。


iDeCoは2016年9月に厚生労働省が個人型確定拠出年金の愛称として発表したものです。
個人型確定拠出年金の英語表記「 individual-type Defined Contribution pension plan」の単語の一部から構成され、「i」には「私」という意味が込められており、自分で運用する年金の特徴を捉えているとのことです。
参考:厚生労働省「個人型確定拠出年金の愛称が「iDeCo(イデコ)」に決定しました」
iDeCoのメリット
iDeCoを活用するメリットは次の3つの税制優遇措置を受けられるため、普通に資産運用するよりも大きく節税できる点にあります。
- 運用で得た利益は全額非課税となる
- 年金資産の受け取りの際に各種控除の対象となる
- 拠出する分の掛金については、全額所得控除の対象となる
例えば、年収500万円の会社員(26歳・独身)が毎月12,000円を60歳までの34年間で拠出した場合、節税金額は次のようになります。
- 運用益非課税額(運用利回り3.0%の場合)=708,178円
- 所得控除額=984,300円
あくまで試算ですが、普通に資産運用した場合と比較して節税できる総額は約168万円です。
老後の資産形成として、有効な手段と言えます。


iDeCoで拠出できる上限金額は会社員なのかフリーランスなのか、また会社であれば企業型DCを導入しているのか否か等の様々な条件によって異なります。
ろうきん(全国労働金庫協会)が提供しているiDeCoシミュレーションを使うことで、貴方がいくら拠出できるのか、節税金額はいくらになるのかがすぐに分かりますので、参照してみてはいかがでしょうか。
iDeCoのデメリット
反対に、iDeCoのデメリットとしては次の3点が挙げられます。
- iDeCo特有の手数料が発生する
- 自分で手続きを行う必要がある
- 60歳まで引き出すことは原則不可能である
順番に見ていきましょう。
①手数料が全額自己負担
iDeCoは大きく分けて次の3つのタイミングでそれぞれ手数料が発生します。
- 新規に加入した時
- 実際に資産を運用している期間中
- 給付時(年金の受取時)
具体的にかかってくる金額は表の通りです。
新規加入時 (初回1回のみ) | 運用期間中 収納手数料 | 運用期間中 事務委託手数料 | 運用期間中 口座管理料 | 給付時 | |
---|---|---|---|---|---|
支払先 | 国民年金基金連合会 | 国民年金基金連合会 | 委託先金融機関 (信託銀行) | 運営管理金融機関 | 委託先金融機関 (信託銀行) |
金額 | 2,829円 | 月額105円 | 月額66円程度 | 月額0~450円程度 ※運営機関により異なる | 440円 |
このほか、運用する金融商品を年金保険等の元本確保型ではなく、投資信託等の元本変動型とする場合は、上記手数料に加えて信託報酬も発生してきます。(信託報酬の有無はファンドによって異なります)
普通に投資信託を運用する場合は発生しない手数料が発生する点は、iDeCoのデメリットと言えます。
なお、SBI証券や松井証券など一部の証券会社は加入資格、積立金額、期間等に関わらず、どなたでも口座管理手数料が「無料」となっています。



「口座管理手数料」は、金融機関によって0円のところから500円程度のところまで様々ですので、お得な証券会社を選ぶようにしましょう!
②自分で手続きを行う必要
iDeCoは、自分で口座開設する金融機関を選び、自分で申し込み手続きを全て行う必要があります。
同じ年金制度である国民年金や厚生年金、企業型DC等は自分から行う必要のある手続き少ないため、これらと比較すると面倒な点もデメリットと言えるかもしれません。
③60歳まで引き出すことは原則不可能
60歳以降の経済的備えを目的として設けられた制度のため、原則として60歳になるまで引き出すことは不可です。
この強力な資金拘束こそが、iDeCoにおける最大のデメリットとなります。
中途脱退して「脱退一時金」をもらうことも一応可能ではありますが、条件がかなり厳しく(国民年金保険料の納付を免除されているなど)現役世代で健康な人の場合、脱退一時金を受け取ることのできる人はほとんどいないでしょう。
このため、
- 急に多額の現金が必要となってもiDeCoの資産を充てにすることはできない
- 若いうちに自由に使えるお金が減少する
上記2点を理解した上でiDeCoを活用する必要があります。
iDeCoは年末調整、または確定申告で証明書を提出しないと節税にならない


iDeCoの掛け金は、所得控除の一種である「小規模企業共済等掛金控除」の対象です。
このため、会社員・公務員の方々は年末調整または確定申告、フリーランスの方々は確定申告を行うことで、その年に支払った掛け金を申告する必要があります。
国民年金基金連合会から「【重要】小規模企業共済等掛金控除証明書」というハガキが送付されてくるので、必ず原本を保管し、提出するようにしてください。



iDeCoを使う最大のメリットはその大きな節税効果にあるので、必ず申告するようにしましょう!
つみたてNISAとiDeCoの違い
つみたてNISAも運用で得た利益が非課税となる制度ですが、iDeCoとの大きな違いは次の3点です。
- 60歳までの資金拘束が無い
- 口座管理手数料をはじめとしたiDeCo特有の手数料が発生しない
- 拠出する積立金について所得控除の対象とはならない
iDeCoとは異なり、つみたてNISAに資金拘束性はございません。
特有の手数料も無いですが、その代わりに所得控除の対象とはならないため、iDeCoほど大きな節税効果も持っていない制度となります。



運用益は全て非課税となりますが、非課税となる期間は最長20年ですので、ご注意ください!
20代から始めるべき理由
冒頭でも触れたように、近年20代のiDeCo加入者数は急増してきております。
ここからは、iDeCoを20代から始めることによるメリットを次の3点に絞ってご紹介いたします。
- 老後2000万円問題の解消
- ライフプランをより具体化できる
- ニュース情報に対する関心が強くなる
老後2000万円問題の解消
iDeCoを活用することで、老後2000万円問題の解消に役立ちます。
iDeCoで毎月12,000円を60歳までの34年間で拠出した場合の受取額は約842万円です。
さらに、つみたてNISAによる毎月33,000円の積立投資を20年間行った場合の受取総額は約1,083万円となり、
合計すると総額1900万円を超えてきます。


iDeCo、つみたてNISAを併用することで、それだけで老後の心配はある程度解消されるのです。
これは長期投資における複利の力が働いているためであり、複利効果は投資期間が長くなるほど大きくなります。
このため、20代という早めの時期から積み立てを始めることには非常に大きなメリットがあるのです。
複利効果や投資の基本的な考え方については、下記で詳しく触れています。


ライフプランをより具体化できる


老後における生活費の心配が解消されると、老後までに使えるお金もより具体的に計算することができるようになります。
iDeCoやつみたてNISAは自動的に月々の収入から差し引かれていくよう設定できるため、残った額をもとに計算すれば良いのです。今まで老後に向けていくら貯蓄すべきかがわからず、漠然とした不安を抱えていた方もいらっしゃるかもしれませんが、もう不安を抱える必要はありません。
また、老後の不安が解消されるということは、他の重要なライフイベントについて検討する時間が増えることにも繋がります。
- 子供の教育費
- マイホーム費用
- 起業に向けた費用
↑のような、これからの人生で必要なもの、実現したいことに関して、集中して検討することができます。



「時間は有限」とよく言われますが、時間ロスをカットできることは、節税うんぬん以上に大きなメリットをもたらしてくれます!
ニュース情報に対する関心が強くなる
個人的に大きなメリットと感じているのが「 ニュース情報に対する関心が強くなる 」という点です。
私はつみたてNISAを2年ほど続けていますが、今まで見向きもしなかった日経平均株価のニュースや海外情勢に関する情報について、ここ2年で強く関心を持つようになりました。
金融商品は様々な情報、状況の変化によって価値が変動するため、資産運用を始めれば自然とそういった情報に目が向くようになります。
私は関心が強くなったことで、本業において顧客への提案時にタイムリーな話題を織り交ぜながら会話することで売り込みに成功したり、ブログを始めるきっかけができたりと、色々なメリットを感じています。



iDeCoを始める前からニュース等の情報には関心が強い方もいらっしゃると思いますが、それでもより視野を広げてくれると思いますよ!
おすすめ証券口座


ここからは、私がiDeCoを始めるにあたっておすすめできる証券会社をご紹介いたします。
いずれも口座管理手数料が無料の会社ですので、ご安心ください。
\ SBI証券の公式サイトはこちら /
\ 松井証券の公式サイトはこちら /
\ マネックス証券の公式サイトはこちら /
まとめ:シミュレーションを活用してiDeCoライフをスタート!
iDeCoに対する20代の関心は強まってきており、その流れはアフターコロナの時代にも続いていくと思われます。
iDeCoの節税効果は大きいですが、60歳までは引き出せないという思い資金拘束が存在するため、あくまで老後資産を形成するための制度と割り切って活用することが必要です。
口座管理手数料が無料の証券会社でiDeCoを始めることで、手数料を抑えることは可能なため、まずはシミュレーションをしてみて、ご自身の老後資産形成について検討されてみてはいかがでしょうか。



ここまでお読み下さり、ありがとうございました!
投資についてさらに理解を深めたい方は、下記記事で紹介している書籍が参考になるかと思います。


iDeCo以外の節税方法として、ふるさと納税もぜひ実践してみてはいかがでしょうか。


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