【なぜ?】円安が進んでいる3つの理由をわかりやすく解説

アイキャッチ(円安)

2022年10月現在、1ドル145円台という約35年ぶりの円安・ドル高水準となっています。

円安とは、一言でいえば「1円の価値が相対的に下がっていること」です。円安の要因は様々ですが、この記事では下記3つを主な原因として取り上げます。

  • ウクライナ侵攻による原油・穀物価格の高騰
  • 日米金利差:日本の低金利と米国の高金利の差異拡大
  • 日本のパンデミック発生後における国内総生産(GDP)成長率が低い

円安の原因のほかに、「過去に円安がどこまで進んだのか」についても解説します。順番に見ていきましょう。

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目次

円安とは

円安とは、冒頭で述べたように「1円の価値が相対的に下がっていること」です。

例えば、リンゴ1個が1ドルで売られていたとします。1ドル100円であれば、100円はリンゴ1個が購入できる価値を持っていることになります。しかし1ドル130円の場合、100円ではリンゴ1個は購入できません。同じリンゴ1個を購入するには30円多く必要なのです。

円安説明
円安とは(筆者作成)

これは円の価値がドルと比較して相対的に落ちているということになります。この状態を円安と呼びます。円安時は輸入品の価格が上昇するため、あらゆるものを輸入に頼っている日本において物価の上昇(値上がり)という形で影響が出てきます。

yuna

なお、ドルの価値は相対的に上がっているため、資産を円ではなくドルで保有している人は資産価値が想定的に上昇しています。

円安が進んでいる3つの理由

ここからは1ドル130円台という2002年4月から約20年ぶりの円安・ドル高水準となっている要因をみていきます。

1.ウクライナ侵攻による原油・穀物価格の高騰

ロシアは世界の原油の約11%を生産しており、世界第3位のシェアを持っています。ロシアに対して米国をはじめとした先進国諸国はウクライナ侵攻に対する経済制裁を加えており、ロシアからの輸入にも厳しい規制が設けられています。

石油ランキング
引用:経済産業省「世界いろいろ雑学ランキング-1日あたりの原油の生産量の多い国」

原油の供給量が減れば、当然原油価格は上昇します。外国資源である原油を取引するには円を外貨に換える必要があるため、大量の円を売ることになる訳です。円が大量に売られるので、円の価値は下がっていきます。これが円安を生んでいるのです。

また穀物、特に小麦についてはウクライナが世界第7位のシェアを持っています。侵攻によってウクライナ国内での小麦の生産・輸出は非常に困難な状況になっており、その影響が世界全体の供給不足につながっています。小麦の価格上昇もまた、円安の原因のひとつとなっているのです。

2.日米金利差:日本の低金利と米国の高金利の差異拡大

日米金利差とは、日本と米国の通貨における金利(預金に対する利子・利息)の差です。日米金利差が拡大すれば、ドル高円安になりやすく、縮小すればドル安円高になりやすいのです。

日米金利差が拡大すると円安になる?
いま日本の「円」は金利が低く、米国の「ドル」は金利が高い状態です。このとき、低金利の「円」を借りて高金利の「ドル」を購入すれば、金利の差分だけ儲けが出ます。このため、金利が高い「ドル」は買われて通貨高となり、金利が低い「円」は売られて通貨安となります。

現在、日本銀行は金利を下げる方針を明確化しています。これは「不景気の時は金利を下げる」という基本に沿った考えから行われています。一方、米国は金利を上げる方針を変えないため、日米金利差が拡大の一途を辿っている=円安が進んでいるのです。

yuna

不景気のときに金利を下げると、金融機関は日銀から低い金利で資金を調達できるので、企業や個人に対する資金の貸出金利が低くなってお金が市場に回りやすくなります。その結果、経済活動が活発になり、景気が上昇します。個人的に景気が良くなった気はしないですけどね、、、

3.日本のパンデミック発生後における国内総生産(GDP)成長率が低い

2021年2月のパンデミック発生から2年が過ぎ、米国や中国の国内総生産(GDP)成長率はパンデミック以前の水準を上回っています。GDP成長率だけを見ると、米国や中国はパンデミックを克服したといえるでしょう。ところが、日本の国内総生産(GDP)成長率はパンデミック以前の水準を下回ったままです。

実質GDP(日本、欧州、ASEAN、米国、中国)
引用:三菱総合研究所「ウィズコロナ下での世界・日本経済の展望」

成長が鈍化している国の通貨が売られてしまうのは、仕方がない動きともいえます。

円安はどこまで進んだことがある?

過去に円安がどこまで進んだかというと、1973年以降では1975年の約304円が最低となります。しかし、これは1985年のプラザ合意前なので、プラザ合意後の比較的安定した以降のレートでみると1990年の約160円が最低水準とみることができます。

プラザ合意
1985年9月22日米国ニューヨークのプラザホテルで開かれた、G5の大蔵大臣(米国は財務長官)と中央銀行総裁が合意した為替レートの安定化策のこと。

下の表で振り返ってみると、直近30年間で円相場は約80円~約140円の間で上下変動を繰り返しておりましたが、今回の円安については正直どこまで下がるのか予想がつきません。年内には150円まで下落することも考えられます。

参考:駒澤大学「小林研究室 外国為替相場(四半期・原)」資料に筆者にて一部追記
yuna

外国人観光客の受け入れが緩和されてきており、ドル高円安による爆買いなどが起こっています。こういった動きが良い傾向を生むことを願っています!

まとめ:極端な円安・円高時は慎重な投資判断を

現在の円相場は日銀による景気対策、ウクライナ侵攻およびパンデミックによる3つの要因が絡み合うことで発生しており、過去の傾向から見ると140円台まで円安は進んでいく可能性があります。

20年ぶりの水準という極端な円安が進んでいる時は、通貨のバランスが乱れているとみることもできます。為替取引にしろ、株式取引にしろ、いつも以上に慎重な投資判断をされることをお勧めします。

この円安で投資に興味を持った方に向けて、投資をするにあたって私が参考にしている書籍を下記記事で紹介しています。

現在はドルの価値は相対的に上がっているため、資産を円ではなくドルで保有している人は資産価値が想定的に上昇しています。私はSBI証券で米国株に投資しており、ドルで保有しています。SBI証券で米国株に投資する方法は下記記事で紹介しています。

参考:BBC NEWS「ウクライナ侵攻で「過去50年で最大の価格ショック」=世銀」

参考:BUSINESS INSIDER「円安「よくある勘違い」8つの決定的論点。1ドル140円が天井?悪い円安?」

参考:日本経済新聞「20年ぶり126円台 円安続く3つの理由は?」

参考:東京新聞「円安加速、1ドル131円台 日銀は2022年度の物価見通しを大幅引き上げも、低金利の方針を明確化」

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